自宅にて、夫とともに鑑賞。
私の夫は男気溢るるやさ男なので、わたくしの女性らしい趣味にはどうにも理解を示してくれない。
たとえば
デートでホラー映画を観ようと誘ったら
「ほかのお友達を誘いなさい」
とお父さん風情でにべもなく断られたり
めったにテレビドラマをチェックしない私が「大奥」にはまった時も、ドロドロも最高潮の、ここを見なくてどこを見るというシーンになって隣りで高いびきをかかれたり
そのようなことがもう何度も何度もあり、すっかり懲りた私は二人の共有フォルダから「ホラー」と「ドロドロ」と「納豆」を外すに至ったのだった。
それでも、これが同業者のよしみということなのか、気になる俳優に関しては一致することが多い。
ロバート・ダウニーJr.もその一人である。
つまりダウニー見たさにこの一本を選んだのであった。
ダウニーとの出会いは今年に入ってからで、出演作も「シャーロック・ホームズ」のみしか知らない。
わかりやすいからと勝手にそう呼んでいるが、通称もおそらく「ダウニー」ではないのだろう。
ちなみに、件の柔軟剤も我が家では使ったことがない。
「気になる」けど「好き」なのかどうかはわからない、そんなマジでコイする5秒前な状態の時が、もしかしたら一番楽しいのかもしれないなああ。
横でリラックス丸出しの姿でリモコンを構えている夫だって、15年前の私にはそういう存在だったわけだが、今それを云々しても結局ダブルカウンターでマットに沈むことになるだけなのだからもういいのだ。
今はダウニーのことだけ考えましょう。再生スタート。
武器屋の二代目(モテモテ)が、自分が開発したすっごい威力のミサイルの新作発表会の帰りにテロ集団に拉致監禁され、さっきのミサイルをここで作れと強要されるが、敵の監視をかいくぐり、スクラップですっごい破壊力のパワードスーツを作り上げ、空を飛んで脱出。すぐ墜落。スーツは大破。しかしなんとか逃げおおせる。
テロ組織に自社製の武器が大量に横流しされているのを見て、自分のしてきたことに大きな疑問が生じる二代目。脱出早々記者会見を開く。
チーズバーガーを食べながら「うちの会社ではもう武器作るのやめるよーだ」と宣言するも、父の代からの側近にご乱心扱いされ、表舞台からひっこめられてしまう。自分の主催するパーティーにすら呼んでもらえない始末。
天才発明家でしかも坊ちゃんという、マイペースの二大要素が服を着て歩いているような彼にとって、他人の忠告や嫌がらせなどは屁のつっぱりにもならず、意志はさらに固くなっていく。
作らないだけではだめだ、なくさないと!
自室(ハイテク)に引きこもって、これまた自分の開発したすっごい能力の人工知能に「ぜったい誰にも内緒だかんな!」などと話しかけつつ、パワードスーツの再開発に挑む。
完成したスーツを装着し、責任回収ヒーロー「アイアンマン」となった二代目は、自らの手で武器を撲滅すべく、あっちこっちと飛び回るのであった。
だがしかし――
というところまでで、本編の半分以上の時間を費やしていたのではないだろうか。
二代目がヒーローになるに至るまでには精神的な過程と物理的な過程があって、後者は文系脳の私にはうまく説明できないので端折ってしまったが、そこのところをきっちり描くにはある程度の尺が必要なのだと思う。だが長すぎてもいけない。そのさじ加減が絶妙であった。
いい具合に焦らされたので、いよいよ赤と黄色がテーマカラーの完成版アイアンマンが登場した時には、待ってましたーと拍手喝采を送りたい気持ちになった。
そしてダウニー。
ホームズの時もそうだったが、頭が良すぎて何を考えてるかわかんないのに妙に愛嬌がある人物、というのは彼のはまり役なのだろうか。
40代も半ばなくせにあんなに澄み切った瞳をしている人間なんて、きっとおかしな人生を送ってきたに違いないと思い、ウィキペディアで調べてみるとさもありなんなことがめんめんと書き連ねられていて、あきれ果てつつもなぜか嫌いになれないという、実は放蕩息子キャラが好きな私にはたまらん人物であることが判明。
そしてホラー映画への出演歴があることも判明。
マジでコイしちゃいそうな気持を火照らせながら、夫にダウニーの経歴を話すと
「ボンボンか、要は」
とドライなかんじで返してきた。お前もな、と言いたい気持ちをぐっとこらえたのは言うまでもない。
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一周忌
8 年前