感想注意報

06 - 7月 - 2014

「なんかさ、すっかり小劇場の人になったよね」 2月の公演の時、ロビーにあいさつに出た共演者の顔ぶれを見渡しながら、20年来の友人が私に言った。 芝居の質が変わってきたとかそういうことかな、ひょっとするとめずらしく褒められてんのかな、と期待するも 「だってさ、あの人ともこの人とも共演してるんでしょ、それで今度はあの人とまで。すっかり顔が広くなっちゃって」 知り合いが増えたね、と単にそういう意味らしい。 「コミュ障だって芝居はできるんだもん!」をよすがにやってきたわたくしもいよいよ四十路を迎え、どんな仕事でもモノを言うのは結局交友関係なんだということをいい加減認めざるを得ない今日この頃だ。 私個人の功績ではまったくないので釈然としないが、まあお褒めいただいたのだと捉えておこうと思った。 そんなコミュ障で出不精だけどめっきり知り合いが増えた(当社比)わたくしが久々に観た芝居は、

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10 - 7月 - 2013

神保町花月という劇場では日夜、芸人と演劇人による夢のコラボレーションが繰り広げられているらしい。 そんな噂を初めて耳にしたのはかれこれ5年ほど前で、以来ずっと興味をそそられてはいたのだが、実際目の当たりにしたのは今日が初めてであった。2月の舞台で共演した、お笑いコンビアホマイルドのクニさん。 演劇の舞台という完全アウェーの場所で、芸人さんならではの存在感を見せつけた彼が、今度は自分のホームにかつての共演者である演劇人たちを引き込んだ。 これはもう、観ないわけにはいかないのである。 お笑いは大好きだが、テレビでしか観たことがない。 初めて目にする生の芸人さんたちの演技とも素ともつかないライブ感は、アドリブ部分は言うに及ばず、これはさすがに台本通りだろうと思われるキメゼリフにも妙な説得力を吹きこんでいく。 同じ演者でも、役者とは生態が違う。 やっぱりエイリアンだ、と思った。恐るべ

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03 - 8月 - 2011

これは吸血鬼のお話である。 相変わらずカバーの説明書きもろくろく読まずに借りてきたので、ぱっと見でゾンビものかと思ったのだが、 厳然たる吸血鬼ものなのであった。 吸血鬼の新機軸に挑んだ作品なのであった。 アラスカにある最果ての町が舞台。 ここには年に一度、30日間全く太陽ののぼらない「極夜」が訪れる。 隣の集落まではおよそ130km。 極夜の間は飛行機も飛ばない。犬ぞりだけが頼りの陸の孤島になる。 なので、住人たちのほとんどは極夜になる前に別の土地に移動する。 600人弱の町の人口は150人ほどに減る。 ジョシュ・ハートネットさん(初対面なのでさん付けにした)演じる主人公は保安官。住人の安全を守るお仕事があるので、当然町に残る。 彼の奥さん(離婚調停中)も保安官だが、よくわかんないけどたぶん勤務地が変わったのだろう。任務を終えて町を出ようとするも空港までの道中事故にあ

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22 - 7月 - 2011

シェルター

横文字にめっぽう弱い私には、ホラーとスリラーの明確な違いが判らない。 あとサスペンスも。 教えて!gooとかYahoo!知恵袋とかをのぞいてみたが、まあやっぱりよくわからなかった。 だから「怖い映画」はなんでも「ホラー映画」と呼ぶことにしているし、これからもそうするのである。 この「シェルター」は多重人格云々とあるから、いわゆるサイコホラーとか言われているジャンルの作品なのかな、と思って観始めた。 が、違った。いや、違わないのかもしれないが。 しいて言うなら「イタコホラー」であった。 女主人公は、精神分析医である。 解離性同一性障害、いわゆる多重人格者の存在を認めておらず、そういった症状を持った犯罪者に対しても 「状酌量の余地なし!」 とばっさばっさと切り捨てている。 そうやってばっさと切り捨てられた犯罪者の一人の死刑がいよいよ執行される、というあたりから話が始まる。

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10 - 5月 - 2011

自宅にて、夫とともに鑑賞。 私の夫は男気溢るるやさ男なので、わたくしの女性らしい趣味にはどうにも理解を示してくれない。 たとえば デートでホラー映画を観ようと誘ったら 「ほかのお友達を誘いなさい」 とお父さん風情でにべもなく断られたり めったにテレビドラマをチェックしない私が「大奥」にはまった時も、ドロドロも最高潮の、ここを見なくてどこを見るというシーンになって隣りで高いびきをかかれたり そのようなことがもう何度も何度もあり、すっかり懲りた私は二人の共有フォルダから「ホラー」と「ドロドロ」と「納豆」を外すに至ったのだった。 それでも、これが同業者のよしみということなのか、気になる俳優に関しては一致することが多い。 ロバート・ダウニーJr.もその一人である。 つまりダウニー見たさにこの一本を選んだのであった。 ダウニーとの出会いは今年に入ってからで、出演作も「シャーロック

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